サーモスタット(水温自動温度調節)付の混合水栓を長年使用していると、経年劣化によりいくつかの不具合が生じてきます。例えばシャワーからチョロチョロと水が止まらなくなったり、レバーが固くなったり、温度調節ができなくなったりと、様々な症状が出てきます。
まだ新しくてこの様な不具合が出てきた時には部品の交換で修理することができますが、経年劣化によるものは何年も経過しているため、部品自体が手に入らなかったり、その箇所だけでの修理では済まないことが多々有ります。
この記事では壁付サーモスタット混合水栓の交換方法について説明しますが、まずはじめに修理部品が手に入るのか、型番が分からない場合はどうしたら良いのかについてお話ししたいと思います。
■ もくじ
修理部品の供給期間は?
ここでは私がよく使用しているTOTO製の水栓について説明します。TOTOの水栓金具の補修部品の供給期間は、製品の製造中止(廃番)後、10年になります。例えば、1995年〜2000年に製造された水栓は2010年部品供給終了、2005年〜2010年に製造された水栓は2020年部品供給終了ということになります。
何年頃製造された物なのかを調べるには品番が重要になります。品番から部品を特定します。
品番を確認するには?
取扱説明書で確認する
取扱説明書を見れば品番を確認することごできます。但し、古い物ですと取扱説明書が見当たらないという方も多いのではないでしょうか。
本体のラベルを確認する
▲写真の水栓はシングルレバー混合水栓ですが、イメージとしてこのようなラベルが貼ってあります。
水栓金具本体の隅々を確認すると、品番のラベルが貼ってあります。但し、こちらも古い物になるとラベルの文字が消えてしまったり、ラベル自体が剥がれてしまったりしている場合が多いです。
品番が分からない場合
TOTO製品の場合、「水栓金具品番特定システム見つかるちゃん」というのがあります。外観の形状を写真で確認しながら、仕様にチェックを入れて検索すると、ほぼ特定することができます。製品の特定ができると製造中止になった時期が分かるので、部品供給の有無を知ることができます。
「水栓金具品番特定システム見つかるちゃん」←こちらのリンクです。
壁付サーモスタット混合水栓の交換方法
壁付というのはその名の通り壁に取り付けてあるタイプの水栓です。水栓本体を壁に取り付けた取付脚に接続します。偏心で位置の調節ができるので、メーカーを問わず壁付タイプであれが取り付けが可能です。
使用する道具と備品
- マイナスドライバー
- モンキーレンチ(幅広のショートタイプが便利)
- アルミモーターレンチ(あれば作業はしやすい)
- オーリングピッカー(パッキン外しの必需品)
- シールテープ
ココに注意
袋ナットの締め付けに絶対に使用してはダメな道具があります。このブログで何回も説明していますが、絶対に使用してはダメな道具はウォーターポンププライヤーです。新品に交換するために古い水栓を外すだけなら良いですが、新しい水栓の袋ナット締め付けには絶対に使用してはダメです。特に先端がギザギザになっているウォーターポンププライヤーを使用すると、メッキが傷だらけになってしまいます。ここでメーカー名を出すと問題があるので言いませんが、プロモーションビデオを見た時は驚愕しました。
水道メーターの止水栓を閉める
まずはじめに水道メーターの止水栓を閉めます。蝶型、握りハンドル型問わず時計まわりに閉めます。レバータイプは反対側に倒すと止まります。
水道メーターの締め方などについてはこちらの記事で詳しく説明しています。
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水栓本体を取り外す
モンキーレンチで取付脚に接続されている袋ナットを時計回りに外します。袋ナットのアソビがあまり無いので、左右の袋ナットをバランス良く外します。水栓本体はズッシリ重いので誤って落下させると、ユニットの床やタイルを傷付けてしまうことがあるので、片方の手でしっかり押さえて外しましょう。
ココに注意
取付脚を取り外す
左右の取付脚を反時計回りに外します。素手で回すこともできますが、シールテープなどでしっかり締め込んであるため固着している場合があります。両手で掴んでも回せない場合は、モーターレンチやモンキーレンチなどで挟んでまわせば、テコの原理で簡単に外すことができます。
ココがポイント
外すときに回す回数を数えておくと、取付のときに目安になります。
取り付け側の凹ネジをきれいにする
写真は掃除前です。
ネジの内部に残ったシールデープの残骸をきれいに掃除しましょう。残っていると水栓内部で目詰まりの原因になります。オーリングピッカーを使うと細かいゴミを取りやすいです。
新しい取付脚を取り付ける
取付脚にはシールテープを巻くのですが、巻く前に必ず両方の取付脚に取付脚用フランジを取り付けます。うっかりした失敗ですが、先にシールテープを巻いてしまい、フランジが入らなくなり巻き直したことが何度かあります。
シールテープの巻き方についてはこちらの記事をご覧ください。
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両方の取付脚にフランジをねじ込みシールテープを巻いたら、基本的には手回しで取付脚を時計まわりにねじ込みます。
ココに注意
お湯側と水側の取付脚を間違わないようにしましょう。お湯側に取り付ける取付脚には「やけど注意」のラベルが貼ってあります。取付脚自体は同じ物ですが間違えないようにしましょう。
取付脚の取り付け方はこちらの記事で詳しく説明しています。
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水漏れの確認と給水管、給湯管内の清掃
取り付けが終わったら両方の取付脚の止水栓を時計回りに閉めて水道メーターの止水栓を開けます。この時に取付脚の根元から水漏れしていないか確認しましょう。水漏れがあった時、後から余計な手間にならないように、本体を取り付ける前に確認しましょう。漏れが無ければフランジを時計回りにねじ込んで、壁にピッタリ合わせます。
▲写真は古い取付脚です。実際には新しい取付脚を取り付けた後に行います。
次に止水栓を反時計回りに少しずつ開いて、管内のサビやゴミなどを排出します。お湯側と水側の両方とも掃除します。
本体にシャワーを取り付ける
取付脚の記事の通り取り付けたら、取付脚に本体を取り付けます。この記事で使用している新たな水栓金具は本体側に袋ナットが付いているので、外した時と同じ様に時計回りに取り付けます。間のパッキンを忘れないようにしましょう。
水栓本体を取り付ける
次に取付脚に本体を取り付けます。この記事で使用している新たな水栓金具は本体側に袋ナットが付いているので、外した時と同じ様に時計回りに取り付けます。間のパッキンを忘れないようにしましょう。袋ナットは片側だけ本締めせずに、交互にバランス良く締めていきましょう。※この時、シャワーホースは取付脚の下から取り出します。
ココに注意
ホースを取付脚の上から取り出してしまうと、見栄えも悪くなるし、ホースの折れや破損のおそれがあります。
両側とも接続したら、最終的に水栓が水平になる様に位置を調整します。水平を調整したら両方の袋ナットを本締めします。目視で調整するのも良いですが、水平器を使うとピッタリと水平に取り付けることができます。
水漏れの最終確認
全て接続したら左右の取付脚の根元、左右の取付脚と本体の接続部(袋ナット)、シャワーヘッドとホースの接続部、シャワーホースとシャワーエルボの接続部から水漏れしていないか確認します。漏れが無いことを確認したら取付脚のフランジを壁側までねじ込んで隙間がない様にします。これで作業は終了です。
まとめ
この作業で一番気を使うのは、取付脚の交換だと思います。はじめはシールテープの巻き方で失敗し、次に取付脚の位置決めの失敗です。失敗しても水道メーターを閉めていれば水が噴き出すことはありません。何度か失敗すればコツも分かってきますよ。決して難しい作業ではありません。
以上、壁付サーモスタット混合水栓交換方法のお話しでした。