便器は床フランジという樹脂製の部品で床に固定されています。あまり交換するものではないのですが、経年劣化や便器の脱着により割れてしまうことがあります。
最近の便器はフランジの構造も違い、便器を上から差し込むだけのタイプになっています。ここでは古い床フランジタイプの交換方法について説明します。
この記事を読んで分かること
自分で直す難易度
古いタイプの便器の床フランジの交換方法が分かる
■ もくじ
どうして床フランジが破損してしまうのか
はじめに経年劣化で床フランジが破損してしまうまでの流れを説明します。
床フランジボルトが腐食する
便器と床の間には、水漏れしないようにPシールガスケットという大きなパッキンのような部分が取り付けてあります。材質はパテ?粘土?のような粘着性のある材質で、経年劣化により硬化してひび割れしたり、毎日便器に座ることで押し潰されてしまい、そこから汚い水が漏れ出しフランジボルトが腐食してしまいます。水道のパッキンが劣化して水漏れする状態と同じです。
上の写真はワンルームアパートのユニットバスの便器を外したときの写真です。ちょっと分かりづらいですが、Pシールガスケットが劣化してパッキンの役目を果たさなくなり、汚水がしみ出た状態です。
床フランジにヒビが入る
汚水がしみ出てくるとボルト、ワッシャー、ナットが少しずつ錆び始め、終いには原型が分からなくなるほどボロボロになります。そうなると完全に固定されず便器本体がグラつくようになります。腰を掛ける度に便器がグラつくので、フランジボルトに連動してフランジ本体に負荷が掛かりヒビが入ります。
上の写真のとおり、フランジボルトの一部が床フランジに引っ掛かるようになっています。便器がグラつくとフランジボルトに引っ張られて、床フランジ(外側の細い箇所)が割れてしまいます。
床フランジを交換する方法
床フランジを交換するには、当たり前の話ですが便器を取り外さないとできません。便器の脱着方法についてはこちらの記事をご覧ください。
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使用する道具
- プラスドライバー
- ペンチ(またはプライヤー)
- シャーパー
- エスロン(塩ビ接着剤)
固定している木ネジを外す
床フランジは4本の木ネジで床に固定されています。プラスドライバーで反時計回りに外します。
フランジボルトが腐食している様な場合は、木ねじも腐食していることが多いです。ネジの頭がナメて溝が潰れてしまったり、ネジの頭が折れてしまうこともあります。その場合は、以下の「破損した床フランジを外す」の手順で作業して下さい。
床フランジを外す
ネジの頭の溝がダメになってしまったり、ネジの頭が折れてしまった時は、床フランジの縁をプライヤーやペンチでバキバキと割り木ネジを露出させます。木ネジを無理やり引き抜くことは困難なので、掴んで反時計回りに外します。ちょっと力が必要かもしれません。プライヤーやペンチで掴んで外します。
木ネジを外し、床フランジの縁の部分を割ってある程度撤去したら、塩ビパイプに接着してある残りの部分を外します。
最初に取付工事をした職人さんにもよるのですが、塩ビ管用の接着剤で固定している場合と、接着剤を使わずに差し込んであるだけの場合があります。床フランジと床の間にマイナスドライバーなどを差し込んで、左右対称に動かしてみて、僅かでも動くようでしたら、少しずつ引き抜けば外すことができます。
接着されている場合は以下の手順で外します。
ココに注意
縦のパイプの中に割ったものが落ちないように雑巾などを詰めて塞いで作業します。
万能鋸シャーパーなどで縦に切れ目を入れます。上の写真は撤去後の床フランジの一部ですが、縦に切断した状態です。
ココがポイント
ここが一番気を使うところです。塩ビパイプを切らないように、少しずつ床フランジだけを切断します。慎重に作業しましょう.。
慎重に切れ目を入れたら、マイナスドライバーをパイプと床フランジの接合部に当てて、ハンマーで軽く叩いて剥がしていきます。一部剥がれだすと動きますので、プライヤーで掴んで取り外します。
新しい床フランジを取り付ける
塩ビ用の接着剤で接続し、4箇所木ねじで固定したら終了です。この時、4箇所の古い木ネジの穴、又は打ち込んだ古いビスを避けて固定します。古いネジ穴のまわりは板が弱くなっている場合が多いので再利用はしません。(腐食など無くしっかりと固定できるなら同じ穴に木ねじを締めましょう)
このように固定すると床フランジのセンターが多少ずれますが、左右のフランジボルトがセンターの位置で引っ掛かれば大丈夫です。
必ず木ネジで固定して、接着剤で接続しましょう。
床フランジはホームセンターでも購入できます。サイズは75と100に対応できる兼用タイプを購入しましょう。
【便器の床フランジを交換する方法】まとめ
床フランジの交換の作業で一番のポイントは、塩ビパイプに接着されている箇所を外す作業です。私を含め水道屋さんは、接着箇所をトーチランプ(バーナー)で炙り、接着剤を溶かして外したりしますが、素人の方にはおすすめできません。第一に危険ということもありますが、バーナーで炙ると塩ビパイプを焦がしてしまったり、変形させてしまうことがあるからです。なので、少しずつ切れ目を入れながら、マイナスドライバーで慎重に剥がす方法が良いと思います。
以上、床フランジ交換のお話しでした。万一、やらなくてはいけない機械がありましたら参考にしてみてください。