排水管の詰まりは高圧洗浄機を使った方が、効率よく早く確実にキレイに詰まりを直すことができます。プロに依頼すればプロ用高圧洗浄機を使って完璧に直してくれますが、当然それなりの費用が掛かります。
一般家庭の1回の依頼で相場は15,000円~30,000円。ちょっと大変な作業になると50,000円、時には100,000円なんてこともあります。
ここでは自分で出来る!ケルヒャーの高圧洗浄機で排水管の詰まりを直す方法について説明します。
この記事を読んで分かること
自分で直す難易度
ケルヒャー高圧洗浄機で排水管の詰まりを直す方法が分かる
プロと同等の作業ができる洗管ホースについて知ることができる
■ もくじ
【ケルヒャー高圧洗浄機 排水管つまり】高圧洗浄機で汚れを掻き出す仕組み
高圧洗浄機で汚れを掻き出す仕組みというのは、簡単に言えば水に圧力を掛けてパイプの中を掃除するということですが、高圧洗浄を初めて見る方は必ず疑問に思うことがあります。なぜホースが自分で進んで行くのか?掃除中に高圧ホースから手を離すとスルスルと蛇のように自分で進んで行きます。
もう一つの疑問は、建物内の排水管から水は吹き出さないのか?と心配される方もいます。高圧洗浄機を初めに考えた人は凄いですよね。よくできた仕組みだと思います。
上のイラスト見て下さい。高圧ホースの先端にはノズルが付いています。ノズルには手前に向かって数カ所の穴が開いており、この穴から水が噴き出します。その噴き出した水の力でホースが自ら進んて行きます。
出典 : 株式会社 シンショー カタログより
ノズルの形やタイプは様々ありますが、代表的なところでは写真の2種類です。パイプの曲がりを進んで行きやすいのは、左のスズランタイプのノズルです。関節が付いているのでコーナーを進みやすいんですね。右側のノズルは万能タイプです。高圧ホースの先端に曲がりのクセを付けてあげると、スズランタイプと同じように曲がりを進んで行きます。
上のGIF動画は実際に高圧洗浄機で作業しているところです。先端のノズルから噴射された高圧水で汚れの塊(油脂スケール)を砕き、剥がれた汚れが手前に出てきます。凄い汚れですよね。ゴロゴロと出てくるのは油の塊です。使用した油をそのまま流す人はいないと思いますが、お皿やフライパンに付着した油(カップ麺などのスープも)などが、少しずつ固まって付着してしまうのです。例えるなら、動脈硬化でプラークが付いたり血栓が生じたりするのと似たようなものです。
水は手前に向かって噴き出すので、室内の排水口から溢れることはありませんが、先端のノズルが流し台下の排水管から出てしまうと、水が噴き出して大変なことになります。
【ケルヒャー高圧洗浄機 排水管つまり】どのメーカーの高圧洗浄機を選ぶか?
プロはシンショーという専門メーカーの高圧洗浄機を使用する方が多いですが、一般の方が購入するには大き過ぎるし、金額もかなり高額になります。なのでプロ用の高圧洗浄機は除外します。
最近では様々なメーカーが家庭用の高圧洗浄機を出しています。ホームセンターでも数社の高圧洗浄機を目にします。その中でどのメーカーが良いのかということですが、費用の面を考えるとアイリスオーヤマ?日本メーカーに拘るなら東芝?人気知名度でケルヒャー?と悩むところですが、ある一つの大きな理由から私のイチオシはケルヒャーの高圧洗浄機です。
その理由は後ほど説明します。
【ケルヒャー高圧洗浄機 排水管つまり】ケルヒャーのどの機種がよいのか?
そりゃあ値段の高い上位機種ほど性能は良いんだろうけど、できるだけお金は掛けたくないですよね。ケルヒャーのホームページを見ると5機種あります。
その中でコスト面と性能面で2機種に絞りました。K2ホームキットとK3サイレントベランダです。排水管の清掃以外にも使えるように、あえて付属品の多いものをチョイスしました。
続いて性能面ですが、高圧洗浄機の性能で一番気になるのが吐出圧力です。簡単にいえば、読んだ如く水を吐き出す力です。メーカーの仕様表によると、K3の吐出圧力は10Mpa(メガパスカル)でK2は9Mpa(メガパスカル)です。
1Mpaでも高いに越したことはありませんが、一般家庭の平均的な水圧は4Kgf/cm2(0.39Mpa)と比較すると
K2とK3の水圧
K2は91.7745Kgf/cm2(9MPa)
K3は101.972Kgf/cm2(10MPa)
四捨五入してK2だと水道の約23倍、K3だと25倍になります。ちなみにプロが使用している高圧洗浄機は150~200Kgf/cm2の圧力です。
K2とK3の水量
K2とK3は同じで、毎分6リットルです。プロの使用する小型の高圧洗浄機で毎分18リットルです。
プロが使用する高圧洗浄機と比較すると、水圧も水量もかなり非力になりますが、その分、時間を掛けて作業すれば詰まりの除去清掃は充分可能です。
予算に余裕のある方はK4やK5という選択肢もありますが、最上位クラスのK5で吐出圧力122.37Kgf/cm2(12MPa)で水量が毎分7.166リットルです。
また、家庭で使う事を考えると取り回しの良さというのは重要です。K3は重量が10.3kg、K2は5.5kgです。排水桝は建物の裏手にあることが多いので、やっぱり軽い方が取り回しは良いです。
吐出圧力を考慮したとしても、軽くて取り回しの効く、更にコストが安いK2がベストではないでしょうか。ちなみにK3はお住まいの地域により50Hz東日本地区と60Hz西日本地区のモデルになります。
【ケルヒャー高圧洗浄機 排水管つまり】最も重要なオプション
ケルヒャーには排水管清掃用で「パイプクリーニングホース」というオプションがあります。ケルヒャー高圧洗浄機を使って自分で排水管清掃がしたいという方はほとんどの方がこれを購入すると思います。
ケルヒャーを使用して「排水管の詰まりが簡単に取れた」という方と、「自分でやってみたが、詰まりを取ることができなかった」という方の違いは何か?
これは直す技術や機械の差ではなくて、それぞれのお宅で、洗浄する排水管の曲がりの数が多いのか少ないのかの差です。曲がりが無くストレートで桝まで繋がっているお宅もあれば、建物の構造上、何箇所も曲がって桝に繋がっているお宅もあります。
排水管の曲がりが多いほどホースは進み辛くなります。しかも、この純正のホースは材質が硬く、排水管内を掃除するには滑りが悪いんです。高圧ホースが自ら進むというよりも手で押し込みながら使うという印象です。
ほぼ直管なら簡単に清掃するこもができますが、曲がりが2つ以上になると入れるのが困難になります。上手くできなかった方々は、入れることが困難だったことが想像できます。
そこで本題に入りますが、数あるメーカーからケルヒャーの高圧洗浄機を選んだ最大の理由はこれです!前置きが長くなりましたが、ケルヒャー社外品の高圧ホースです。ケルヒャー社の純正品ではありません。これはプロが使うホースと同じですね。細いステンレス製のワイヤーホースです。網目状になった内部は耐圧のゴムになっています。スムーズに曲がりを超えていきます。
プロはなぜ簡単に詰まりを直すことが出来るのか?もちろん高圧洗浄機のパワーの違いはありますけど、使用するホースの差と言っても過言ではないと思います。水圧の差は歴然なので作業時間ではかないませんが、かなりプロに近い作業ができると思います。
高圧ホースは長ければ長いほど圧力が減ってしまうので、10mがベストでしょう。コックで開閉ができるので、両手を使って作業もしやすいです。そんなプロ仕様の高圧ホースですが、気をつけなくてはいけないこともあります。
ココに注意
乱暴に扱うと潰れたり折り目が付いてしまいます。また、洗浄機から外してその辺に無造作に置いてしまうと、接続する箇所から砂や小石が入ってしまい目詰まりしてしまいます。この2点は要注意です。
パイプの曲がりは3箇所くらいが限界で、純正のホースでもその様にうたってますが、スムーズに清掃できるかどうかは全然違うと思います。
プロの使う高圧洗浄機でも、高圧ホースが進んでいけるのは、50のパイプで曲がりは3~4箇所が限界です。高圧洗浄機自体の水圧と水量の差は歴然なので、時間を掛けて根気よく洗浄しましょう。
【ケルヒャー高圧洗浄機 排水管つまり】ケルヒャー高圧洗浄機で排水管の詰まりを直す!
プロの使用する高圧洗浄機に比べれば非力かも知れませんが、時間を掛けて丁寧に作業すれば、詰まりを除去することは充分可能だと思います。
排水管の詰まりを清掃する準備
キッチン流し台から流れ出る排水桝を特定する
どの桝が台所の排水なのかということですが、基本的には台所に一番近い場所に設置されていますが、建物の構造により離れている場合もあります。少量の水を流せるような状態でしてら、流れ出てくる水を見て確認できると思います。
また、完全に詰まっていて流せない場合でも、排水管のトラップ部分に白い粉石鹸が固まったような塊があるので分かると思います。
※ この塊は油です。洗剤が固まってるように見えますが油です。
高圧洗浄機以外の備品
高圧洗浄すると油の大きな塊がゴロゴロ出てきます。そのまま流してしまうと先の本管で詰まってしまうことがあるので、砕くためにバールやケレン棒などがあると便利です。
ケルヒャー高圧洗浄機で詰まりを直す
洗浄前に行うこと
流し台下の排水ホース挿入口にウエスなどを詰めて密閉します。
ココがポイント
防臭パッキン(クリーンパッキン)がしっかり装着されている場合でも、抜けてしまう可能背は0でなないので、一度防臭パッキンを外してパイプのまわりにウエスなどを詰めて塞ぎます。
なぜウエスで塞ぐのかというと、高圧洗浄ホースの先端が排水口から出てしまうと噴き出した水で流し台の下が池になってしまうからです。
また、もう一つの理由があります。油は手前の下流側がら詰まっていきます。(排水管の勾配不良などにより上流側で詰まる例外もあります)
あとで作業方法を説明しますが、下流側で油が固まって詰まっている場合、高圧洗浄ホースを挿入していくと、手前の取りきれていない油の塊の隙間に、洗浄によって剥がれた油かすが目詰まりしてしまうことがあります。目詰まりすると手前に出てくる水がチョロチョロと弱くなったり、全く出て来なくなることがあります。
これに構わずにに洗浄を続けると、流し台の下から湧き水のように溢れて、油などの悪臭を含んだドロドロな汚水で大変なことになります。
ウエスで密閉しても完全とは言えませんが溢れの防止にはなります。
塩ビ桝の場合はトラップ部分の塊を取り除き、掃除口から挿入します。コンクリート桝の場合はエルボを外して洗浄した方が、油の塊を排出しやすくなります。外した後に排水口に油の大きな塊がある場合は、高圧洗浄する前にパールなどで取れる範囲は取ってしまいましょう。
高圧洗浄ホースを30cm位入れてからバルブを開く
ここに注意
ケルヒャーは家庭用の高圧洗浄機といっても、一般の水道とは違い強い水圧があります。洗浄ホースの挿入が浅いと先端が踊ってしまい水が飛び散ったり、自分に当たって思わぬ事故に繋がることがあります。目に当たりでもしたら大変です。
また、バルブを開くときは、ホースが勝手に進まないようにしっかりと握ってください。高圧洗浄ホースは先端にノズルがついていて幾つかの穴が開いています。この穴から高圧の水が手前に噴き出す仕組みになっているので、手を離すとスルスルと勝手に進んでしまいます。
手前から掃除していく
排水管の出口付近に油の塊がまだ残っている状態で、高圧洗浄機の勢いに任せて洗浄ホースを一気に挿入してしまうと、手前に付着している塊の隙間に目詰まりしてしまいます。
手前に水が出て来なくなるのが危険を知らせるサインです。上流側のシンクに逆流してしまいますので、一旦バルブを閉めて洗浄をやめてください。ホースを手前に引き抜き、出口付近を丁寧に洗浄して油の塊や白い水が出なくなったら、手前から少しずつ汚れを落としながら進んでいきます。
油の塊が出て来なくなっても白く濁った水が出てくる場合は、まだ大きな塊が付着しています。丁寧に根気よく除去します。
終わりのサイン
洗浄ホースが進んでいくと、今までの白っぽい水とは明らかに違う黒っぽいような茶色っぽいような水(水垢やカス)が出てきます。
このような水垢は流し台下の縦管付近に付着しているものなので、水の色が変化したら、それ以上挿入するのはやめた方が無難です。洗浄ホースの先端が詰めたウエスや排水ホースに当たると、柔らかいものに当たった感触で分かりますので、それ以上入れないようにします。
洗浄が終わったら
シンクに水を張り一気に排水してみます。この時、まだ詰まりがあるとシンク下の排水管口から溢れてしまうので、先ほど溢れ防止のために排水管に詰めたウエスはそのままにしておきましょう。
ボコボコと空気が上がってきたり水の引きが悪い場合は、まだ塊が残っているのでもう一度洗浄します。問題なければ防臭パッキン(クリーンパッキン)を元どおりにはめます。
外した桝のエルボを取り付けます。エルボを取り付けているために汚れが溜まり詰まりやすいということもありますが、ネズミやゴキブリやチョウバエの進入を防ぎ、悪臭が上がってくるのも防いでくれるので必ず取り付けましょう。
詰まりが酷くなればなるほど作業時間が掛かります。業者に依頼しても高額になってしまいます。詰まる前から一年に一回とか、定期的に洗浄するのが理想です。自分で直してみると排水の構造も理解できるので、いざという時に慌てずにすみます。
【ケルヒャー高圧洗浄機 排水管つまり】更に完璧に直す!~応用編~
ケルヒャーの高圧洗浄機を使って、外の桝からキッチンの排水管の詰まりを直していると、どうしても限界を感じることがあるかも知れません。
排水管の曲がりの数に比例して、高圧洗浄ホースが入りにくくなるからです。ある程度油の塊を除去できても、もう少し先の方まで洗浄したいとか、どうせ洗浄するならキッチンの下まで全てを洗浄したいと思いますよね。
キッチン側から高圧洗浄する
外の桝からの洗浄に限界を感じたら、室内のキッチン側から洗浄する方法があります。高圧洗浄ホースの先端のノズルには、手前の方向にいくつかの穴が開いています。この穴から噴射された高圧水の勢いで、ノズルが自分で進んでいきます。
シンクに水が溜まるようにする
シンクの下では排水ホースが排水管に差し込んであるだけです。防臭パッキン(クリーンパッキン)は取り付けてあると思いますが、それを外してそのまま排水口から洗浄すると、手前に排水が溢れ瞬く間に台所の床が池になってしまいます。
排水管を加工する
キッチン流し台の排水管のサイズは、殆どがサイズは50です。この50の排水管に50×40の排水ソケットを接続して、排水管のサイズを50から40に落とします。
40のパイプで高さを延長します。そこに排水ホースを差し込んで、5cmくらいの幅のビニールテープを巻きます。ここから水漏れしないように、ビニールテープにはテンションを掛けながら、隙間が無いように強く巻きます。
パイプは50サイズでそのまま延長しても良いのですが、排水ホースを差し込んでテープを巻く時に、隙間が有りすぎると巻きにくいので、40がベストだと思います。
写真では排水プレートの穴を四角くカットしていますが、別途排水プレートを購入した方が、加工もしやすいですし、見栄えも良いと思います。
ソケットやパイプを接続する時は、必ず排水管用のノリを着けて接続します。
シンク側の排水口から高圧洗浄する
シンクから高圧洗浄ホースを差し込んで洗浄します。手前に逆流したとしても排水はシンクに溜まるので、床が水浸しにならずに洗浄することができます。ある程度差し込んでみて逆流してこないようであれば、蛇口を開いて水を流しながら洗浄すると、洗浄で汚れた水も下流側に流しながら洗浄することができます。
マンションなどのシンク下の排水管は、排水ホースは使用せずにパイプで直結されているので、このようにシンクの上から洗浄します。洗浄中は、先ほどテープを巻いた箇所から水漏れがないか確認しながら洗浄しましょう。
更に加工が必要なパターン
上記の排水トラップはサイズが外径が115mmですが、外径が180mmや186mmの大きめの排水トラップでも、排水ホースが接続してあるタイプには有効です例外として更に一手間掛けなくてはいけない場合があります。おしゃれなシステムキッチンに多いのですが、複雑なトラップを使用しているタイプがあります。
洗面台のようにSの字タイプのトラップが取り付けてあると、洗浄ホースを挿入させることが不可能です。このようなタイプの場合は、外径の合う通常の排水トラップに、仮で交換してから作業しましょう。
両側から洗浄して完璧
外からと室内から洗浄する作業は、手間も時間も掛かりますが、両側から洗浄すれば完璧に汚れを落とすことができます。ケルヒャーの高圧洗浄機と、プロが使用する高圧洗浄機を比べればパワーの面では劣りますが、丁寧に時間を掛けて作業すれば決してプロに負けることはありません。
一つだけ気を付けなくてはいけないことは、洗浄ホースが抜けなくなってしまわないように、進めては戻し、進めては戻しを繰り返しながら、引っ掛かっていないことを確認しながら洗浄しましょう。
延長した配管は?
延長した配管はそのままが良いでしょう。今後、詰まったとしても排水が溢れるて建物を傷めることもないですし、定期的に高圧洗浄しやすくなります。なので、パイプの接続はノリが垂れないようにキレイに接続して、パイプのサイズに排水プレートの穴を加工するときも、キレイに切断しましょう。仕上がりと見栄えは大切です。
【ケルヒャーの高圧洗浄機で排水管の詰まり除去を考える】まとめ
正直なところ、当たり前の話でずがプロが使っている高圧洗浄機と比べてしまうと圧力と水量の差はかなりあります。それでも、時間を掛けて作業すれば排水管のつまりを解消することは十分に可能です。また、今までケルヒャー純正の排水管洗浄ホースで作業していた方が、紹介した洗浄ホースを使えば、その性能の違いを必ず感じると思います。
高圧ホースを上手に入れていくコツは、ただ闇雲に突っ込もうとするのではなく、高圧ホースの先端を回転させるようなイメージで、手を左右に動かしながら作業すると、スルスルっと入っていきます。
生活していれば排水管は必ず詰まります。1回や2回どころではありません。一度自分で直してみれば、「意外と出来るな!」となると思いますよ。以上、家庭用高圧洗浄機のお話でした。参考にしてみてください。