水まわりの修理はよく分からない、難しいのではないか、余計なことをして更に大事になったらどうしよう、と思ってしまう方が多いですが、事前に仕組みや原因、修理の手順などの知識を得れば決して難しいことではありません。但し、工具のチョイスに失敗すると、器具に傷を付けてしまったり、かんたんにできる作業も半日掛かってしまうこともあります。
100円くらいで手に入る工具もありますがオススメはできません。水道関係の部品には真鍮にメッキ加工された部品も多く、精度の低い道具では傷を付けてしまうことが多々あります。また、使用する道具には適材適所があって、使用目的や使い方を誤ると部品を傷だらけにしてしまいます。
水まわりの修理には特殊な工具を使用することも多いのですが、最低限持っていると便利な道具の選び方や用途についてお話したいと思います。
この記事を読んで分かること
水まわり修理の工具の選び方について分かる
■ もくじ
水まわりの修理で精度が重要な道具
モンキーレンチ
重要度
自動車、バイク、自転車などの整備士はモンキーを使用する人は少ないようですが、水道屋さんにとっては必須の工具です。一つのモンキーで色々なサイズをカバーできるのでとても便利な工具です。整備士のモンキー嫌いはボルトやナットがナメてしまうことが理由のようです。
確かに自動車に付属している整備セットのモンキーは使いづらいですよね。幅を合わせても直ぐにズレてしまいます。
モンキーを上下左右に振ってみるとカタカタが音がするものがあります(精度の悪いモンキーはほとんど音がします)。これを「ガタ」と呼んでますが、この「ガタ」が無いほど精度が高くボルトやナットをナメさせることもありません。一度合わせた上アゴと下アゴがズレないやつですね。
精度の良さに加えて、水まわりの修理は狭い箇所での作業が多いので、持ち手が短いタイプのモンキーレンチがあると便利です。
水道関係のメンテナンスでは、メッキされた袋ナットを回すことが多いので、絶対に妥協できない工具の一つです。最近、TOP工業のハイパーレンチというモンキーレンチを購入しましたが、そのガタの無さにびっくりしました。
プラスドライバー
重要度
水栓のパッキン交換で、ハンドルのビスを外すための工具です。モンキーレンチと同様に精度が重要で妥協できない工具です。100円のプラスドライバーだと精度が悪くネジの溝に対してアジャストしません。このようなドライバーを使うとネジの頭が潰れてしまうので、良いものを揃えましょう。
ココがポイント
プラスドライバーには先端の大きさによって0番・1番・2番・3番…とあります。水まわり修理で使用するプラスドライバーは、2番を持っていればほとんど用が足りますが、流し台の下の点検口板のビスは1番が使われていることが多いです。1番のプラスドライバーは出番が少ないですが、持っていると助かると思います。
水まわりの修理でその他必要な道具
水栓ドライバー
重要度
トイレや洗面台のドライバー式止水栓を閉める道具です。マイナスドライバーでも開閉できますが、止水栓の溝の幅に対して通常のマイナスドライバーでは小さくて、固着した止水栓を回すときに溝が変形してしまうことがあります。
止水栓専用のドライバーになりますが、持っていたほうが良い道具の一つです。
カランプライヤ
持っているとメチャクチャ便利度
株式会社ロブテックス社製のカランプライヤです。「プライヤー」じゃなくて「プライヤ」なんですね。蛇口などの修理では大活躍してくれます。この道具は水道屋さんの間では「カラス」と呼ばれています。プライヤの先端がカラスのくちばしのようだと言うことでしょうかね。
このブログを見て、これからは「自分で直すぞ!!」「直すわよ!!」と思った方は、絶対に必要な道具の一つです。一般的なウォーターポンププライヤーとは少々形が異なるのがこのカランプライヤです。
使用用途は写真に記載のとおりなのですが、水栓のパッキン交換での使用頻度はかなり高いです。ナットが掴める部分はギザギザが無く、しっかり握ってナットを回せば傷も付きませんが、ナットが固く閉まっているとそれなりに握力を使いますので、女性はモンキーレンチを使った方が間違いないです。
5mm間隔で8段階に口が開きます。先端は滑りにくく、しっかりと掴みます。蛇口のハンドルの角のない、縦溝の入った袋ナットを外すときに重宝します。
持ち手の後ろ側がマイナスドライバー型になっているので、水道メーターのフタを開けたり、トイレなどの止水栓の開閉に便利です!
▲角の無いローレットタイプの袋ナットが回せます。
▲ホーム水栓のハンドルのビスが外せます。
▲コマパッキンを取り出すのに便利な構造です。
▲ユニットバスの固着した排水筒を外すことができる
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ピックツール
作業効率UP度
固着した上部パッキンやUパッキン、MYMのO(オー)リングを取り外します。実際に作業してみると分かるのですが、固着したパッキンを取り外すのは大変です。この道具があればかんたんに取り外すことができます。
あると便利な道具(上級者向け)
ラクラッチ
作業効率UP度
トイレのタンクや便器の脱着には欠かせない工具です。モンキーレンチでも作業はできますが、ラクラッチを使えば10倍早く作業できます。ラクラッチは狭いトイレでも楽に作業できて本当に便利な道具です。左右で8mm・10mm・12mm・13mmの4サイズのナットに対応するラチェットレンチです。
用途は各種ラックの取付け作業、配管バンド・電路支持金具の脱着にとのことですが、水まわりでの使用も全く問題はありません。大活躍してくれますよ。普通の板ラチェットレンチと違うのは、ナットを締める部分が、ソケットレンチのようにロングになっているところです。
狭いトイレの中で無理な姿勢での作業も、しっかりとナットをホールドし、外したナットもソケット内で受けてくれるので、ナットを落としてコロコロと転がって、イライラすることもなく作業することができます。
便器の脱着では、便器を固定している床フランジボルトのナットや、タンクと便器を固定する取付ボルトのナットを外すことができます。モンキーやスパナと比べると、狭い場所での作業効率の良さは雲泥の差です。ギアの切り替えが付いるので、一度外して裏返してということをすることなく作業できます。
ソケットの部分は錆びるので、水が付着したらしっかり水気を取ってKURE5-56を噴き付けましょう。この工具も一つ持っていると、様々な場面で活躍してくれるのでオススメです。
縦型金具しめつけ工具
持っていれば鬼に金棒度
キッチンや洗面台のデッキタイプの水栓を交換するときに絶対に必要な工具です。また、スペースが無くてモンキーが入らないような、洗面台やキッチンのフレキ管のナットを外すときにも使用します。
自分で水栓交換をやってみたいという方は揃えておきたいですね。ほぼ全てのサイズをカバーできます。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
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(重要)ウォーターポンププライヤーについての注意
水まわりの修理を行う道具として、ウォーターポンププライヤーをイメージされる方も多いと思います。名前にウォーターがついているくらいですから水道屋さんを始め、ガス屋さんも使用しています。
ネットでは実際にこの道具を使って修理した方の写真をよく見かけますが、プロの水道屋さんは絶対にしない使い方が多く見受けられます。ギザの付いたプライヤーでメッキの袋ナットを掴むと、悲しくなるほど傷だらけになります。プロは絶対にやりません。
なんでもかんでもウォーターポンププライヤーで修理できる!みたいな紹介が多すぎますよね。某メーカー公式の商品動画でも、ギザでナットを掴んでいて「マジっすか????」と目が点になりました。水栓のハンドルに隠れるナットなら良いですが、水栓本体と取り付け脚を接続するナットまで掴んでいました。他のYoutube動画でも結構あります。
メッキされた部品には絶対に使わないようにしましょう。ガタの無いモンキーレンチがベストです。
まとめ
今回紹介した工具で水まわりの全て対応できるわけではありませんが、通常の作業では使用頻度の高いものを紹介しました。精度の高い工具はそれなりにお金が掛かりますが、器具を傷めることも無く工具自体も丈夫です。安物買いの銭失いにならないように強くおすすめします。特にモンキーレンチとプラスドライバーは妥協しないでください。