下水の桝のフタを開けたことがありますか?庭のまわりにあって普段から目にしていても、今まで一度も開けたことがないという方もいますよね。
排水管の詰まりによりトラブルは突然やってきます。いざという時に開けようとしても、固着して開けることができない、開け方が分からないということが無いように、ここでは桝フタの開け方をタイプ別にお話します。
■ もくじ
排水管の呼び方と桝のフタの表記
後々説明しやすいように、まずは排水管の呼び方についてお話します。
排水管の呼び方には色々とあって、一般的にキッチン・風呂・洗面・洗濯などの生活排水を雑排水、トイレは汚水、雨樋などは雨水と呼んでいます。また、雑排水と汚水を合わせて下水と呼んでいます。
但し、桝のフタでは生活排水と汚水の桝には「下水」ではなく「おすい」と表示されています。雨の桝には「雨水」と表示されています。
桝フタのタイプ別の開け方
硬質塩化ビニル製桝フタ
最近の建物では殆どが、硬質塩化ビニル製の桝とフタを使用しています。桝と配管を専用の接着剤でしっかりと接続するため、木の根などが内部に侵入することがなく、コンクリート桝ような経年劣化による劣化もありません。
また、一般的な住宅やアパート・マンションなどでは、フタの直径は150ミリまたは200ミリとコンパクトなためスペースを取ることもありません。
一般的な塩ビ桝のフタの開け方
開け方
上の写真の矢印の部分に、マイナスドライバーを差し込んで開けます。片方ずつ交互にフタを持ち上げると、簡単に開けることができます。
ターンアップ式の桝のフタの開け方
引用: アロンマス アロン化成 管財製品サイトより
上の写真のように2箇所穴が空いているタイプをターンアップ式と言います。簡単にドライバーで開けることができるタイプと違い、専用の工具が無いと開けることが困難で、いたずら防止にもなるタイプです。
フタと同じメーカーから、穴の幅が違うタイプ用の二種類の専用工具が販売されています。本業が使用する道具という位置づけですので金額も高めです。他に用途も無いので、私はホームセンターで気軽に買える下記の道具を使用しています。
元々はステンレス製の掃除口を開ける工具として使うことが多いですが、ターンアップ式のフタにも使えます。
開け方
使い方は簡単です。工具の先端が自在に開きますので、ターンアップ式のフタの穴の幅に合わせて差し込み、開けた時に工具がズレないように工具を軽く手で抑えながら、両手で反時計回りに回すと外すことができます。
鉄(鋳鉄)フタの開け方
このタイプのフタはマンホールフックがあると便利です。針金を引っ掛けて持ち上げたり、プライヤーなどで挟んで持ち上げることも不可能ではありませんが、それは普通に開けることができる場合だけです。
この手の鉄フタは普段から開けたことがないと、細かい砂や小石が隙間に詰まったり、フタと枠が錆びついてしまい、ちょっとやそっとでは開けることができません。マンホールフックを引掛けて、両手で持ち上げてもビクともしません。
錆びて固着した鉄マンホールのフタの開け方
鉄フタの片方にマンホールフックを引掛け、持ち上げる方向に力を入れながら、もう片方の手でヘッドが大きめのハンマーで、フタの端を軽く叩きます。錆びて固着しているサビを砕くイメージです。全く動かなければ多少強目に叩きます。マンホールフックで持ち上げながらフタを叩くと、少しずつ動いてくるはずです。
フタが動いたら両方にマンホールフックを引掛けて、真上に持ち上げればフタが外れます。
ココに注意
思いっ切り叩きすぎると、鋳鉄製のフタは真っ二つに割れる場合がありますので、少しずつ力を加えながら叩きましょう。
コンクリートのフタの開け方
写真のような四角いフタや丸いコンクリート製のフタは、簡単にあけることができますが、真ん中の取手が錆びて取れてしまったり、フタの周りに土砂や小石が侵入していると、素手で開けるのは大変です。
そんな時、バールが二本あれば簡単に開けることができます。
開け方
左右の手にバールを持って、バールの先端をフタの隙間に差し込みます。砂などが目詰まりしている場合は、バールの先端で書き出しましょう。
差し込んだ左右のバールを、それぞれ交互にフタを持ち上げるように動かします。少しずつフタが動き出したら、それぞれのバールを奥に差し込むように動かします。フタが浮いたらあとは両手で持ち上げます。
開けることができない化粧桝のフタ
一般住宅ではあまり見かけませんが、アパートなどでよく見かけるこの桝のフタ。化粧桝と言いますが、この四角いフタを開けると、更に丸いコンクリートのフタがあります。アパートの廊下がタイル貼りの場合、デザインを損なわないように、このようなフタが設置してあります。
フタ本体にコンクリートが流し込んであり、その上にタイルが貼ってあります。重さもかなりあります。
このフタが開かないの何のって。フタが枠にピッタリはまっていて、針を通す隙間も無いため、普通に開けることができません。最近ではフタがテーパー上状になっていたり、簡単にずらしてあけることができるようになっていますが、これはダメです。
上の写真を見てください。中央の赤い枠の部分は、上に引き出すと取手になるのですが、これも固着してビクともしません。挙句の果てにプライヤーやマイナスドライバーで動かそうとすると、取手がポキっと折れてしまいます。
写真の矢印の箇所は、バールを当ててハンマーで叩いて開けようとした形跡です。フレームは変形して、最悪の場合はフレームだけが外れてしまったり、タイルが割れたりするため、フタの破損を覚悟して開けないとダメですね。
排水管の詰まりなどで、どうしてもフタを開ける必要がある場合は、フタの破損が前提になります。
以上、桝のフタの開け方についてお話しました。たまには開けて点検してみましょう。