ハンドル式の水栓はパッキン交換など、メンテナンスの簡単さや交換部品の低コストという面では扱いやすい水栓ですが、一つのレバーで温度調整ができたり、バルブの開閉ができるシングルレバー式の方が、交換部品のコストは高くなりますが使い勝手は抜群に良いです。ここでは2ホールタイプの台付2ハンドル混合水栓から2ホール台付シングル混合水栓(TOTO TKS05310J)へ交換する方法を説明します。
この記事を読んで分かること
自分で交換する難易度
2ホール台付混合水栓の交換方法が分かる
TOTO TKS05310Jの取り付け方が分かる
■ もくじ
芯々のサイズを確認
芯々のサイズとは、お湯側の芯と水側の芯の間のサイズになります。それぞれのハンドルの中心から中心までを計測すればおおよそ分かります。一般的なシンクではほぼ、JIS規格で統一されている203mmになります。ワンルームアパートなどに設置されている小型のシンクでは、芯々102mmが多いです。
使用する道具
使用する道具
- モンキーレンチ×2
- 立形金具しめつけ工具(23mm、24mm用)
- 作業用ライト(ヘッドランプ推奨)
- 潤滑スプレー KURE 5-56(古い水栓のロックナットが固着している場合に使用)
狭い箇所での作業になるので、モンキーレンチは普通サイズのモンキーレンチとショートタイプのモンキーレンチがあると作業がしやすいです。
簡単にスムーズに作業を行うためには立形金具しめつけ工具は必須です。モンキーレンチやウォーターポンププライヤーで代用することも可能ですが、部品が傷だらけになるのと、中々外せずに何時間も格闘して投げ出す事になるので、立形金具しめつけ工具は必ず準備しましょう。
作業箇所を照らす照明を用意しましょう。フラッシュライトなどを立てて照らすのも良いですが、狭い箇所での作業中にライトが転倒したりすると、余計な雑作業が増えてしまいます。作業箇所をピンポイントで照らせて、両手フリーにできるヘッドランプが重宝します。
給水管と給湯管の接続箇所について
シンクのタイプによりますが、混合水栓が水切りの上に設置してあるような場合、給水管と給湯管は、側板の裏側の見えない箇所で接続されています。側板(点検口)がビスで固定してある場合は、ビスを外して板を外しましょう。
古い建物ではメンテナンスを考慮していないのか、水栓の取り付け後に点検口無しの流し台を設置して、側板を外すことができな場合があります。このような場合は後々のことを考えて、側板をカッターナイフで四角く切断し、新たなベニヤ板を用意してカバー板を作りましょう。
古い台付混合水栓を取り外す
step
1止水栓または水道メーターの元栓を閉める
シンクの下に止水栓がある場合は、それぞれ時計回りに閉めます。止水栓が無い場合は水道メーターの元栓を閉めます。
step
2下側のフレキ袋ナットを取り外す
お湯側と水側両方の下側の袋ナットをモンキーレンチで反時計回りに外します。袋ナットが固着している場合があるので、下の給水管や給湯管に負荷が掛からないように、もう一つのモンキーレンチでフレキニップルを固定しながら外しましょう。この時、管の内部に残った水が出てくるので、外す袋ナット付近にタオルやウエスなどを巻いて外します。
※先に下側のフレキ袋ナットを外すのは、目の高さの位置で押さえやすくて、流れ出る管内の水を一度で出し切れるからです。
水回り修理の基本!ココに注意
これは水まわり作業の基本なのですが、袋ナット外す時に接続相手が供回りする可能性がある場合は、相手方を必ず固定しながら回します。供回りしないように、フレキニップルの六角部分をモンキーレンチで固定しながら外します。
特に給湯管に注意しましょう。給湯管に使用されている銅管は柔らかく、負荷が掛かると簡単によじれてしまいます。
step
3上側のフレキ袋ナットを取り外す
上側の袋ナットを外すには立形金具しめつけ工具を使用します。持ち手の短いモンキーレンチなどでも外すことはできますが、こちらの方が断然作業がしやすいです。立形金具しめつけ工具を袋ナットに垂直に合わせて、下から見て反時計回りに外します。
袋ナットのサイズは対辺23mmが一般的なサイズですが、一部24mm、24mmL(24mm強)のサイズもあります。サイズに合った立形金具しめつけ工具を使用します。
step
4混合水栓のロックナットを取り外す
上側のフレキ袋ナット同様に立形金具しめつけ工具で、下から見て反時計回りに外します。ロックナットのサイズは対辺24mmです。サイズに合った立形金具しめつけ工具を使用します。
古くて経年劣化の進んだ水栓だと、上側から染み込んだ水でロックナットと菊座ナットが錆び付いて固着していることがあります。一連の作業で苦労するのが、固着したロックナットを外すことだと思います。力任せに無理に外そうとしてもイライラするだけで外すことはできません。一旦作業をやめてKURE5-56などの潤滑油をロックナットの隙間に吹き付け浸透させます。少し時間を置いて馴染ませたら、立形金具しめつけ工具を垂直にしっかりと合わせて回します。固着したロックナットでもKURE5-56を浸透させると簡単に外せます。
ココに注意
仰向けになって作業する場合、錆び付いた菊座ナットがボロボロと落ちてくるので、目に入らないように気を付けましょう。作業用メガネやゴーグルがあると便利です。
step
5水栓本体を持ち上げる
お湯側と水側のロックナットを外すと、菊座ナットとパッキンが貼り付いている場合があります。外すことができない場合は、水栓本体を上側から左右交互に引っ張りながら外します。その後、下に落ちた菊座ナットとパッキンを拾いましょう。水栓を取り外すことができたら、台の上をキレイに掃除します。
TOTO TKS05310Jを取り付ける
2ハンドルとシングルレバーの違いはありますが、取り付け方に違いありません。
step
1ロックナットで固定する
新しい混合水栓を両方の穴に通し設置します。オスねじにパッキン→菊座ナット→ロックナットの順にセットし、指先で回せる所まで仮締めします。片側だけでなく、お湯側と水側の両方バランス良く仮締めします。ある程度固く閉めたら水栓本体が斜めにならない様に位置を合わせ、立形金具しめつけ工具で下からみて時計回りに締め付けます。
step
2上側のフレキ袋ナットを接続する
古いパッキンは再利用できません。新しいシートパッキン(ノンアスパッキン)を使用します。シートパッキンを間に挟み、袋ナットを下から見て時計回りに締め付けます。完全に本締めしても構いません。両側の袋ナットを締め付けます。
step
3下側のフレキ袋ナットを接続する
フレキ管のツバとフレキニップルの合わせ面が平行になるように修正します。フレキ管はその名のとおりフレキシブルに曲げることができます。シートパッキンの厚みを考えながら、合わせ面が平行になるように曲げて修正します。合わせ面がズレていると水漏れの原因になります。上から見て時計回りに締め付けます。
step
4止水栓または水道メーターを開く
全ての取り付け接続が完了したら止水栓または水道メーターを開きます。数分様子を見て水漏れがないか確認しましょう。確認する箇所はフレキ袋ナットの接続部の4箇所です。
step
5管内のエアーを抜く
作業後は配管内に空気が入ります。特に水道メーターを閉めた場合だと空気が入りやすいです。水栓のレバーハンドルを少しずつ開き、お湯側と水側両方の空気を抜きましょう。
ココに注意
レバーハンドルを一気に持ち上げると、空気と一緒に激しく水が噴き出すことがあります。
【キッチン台付シングル混合水栓の交換方法/TOTO TKS05310J】まとめ
2ホールタイプの台付混合水栓は簡単に交換することができます。但し、プロでも適切な道具無しではスムーズに交換することはできません。台付混合水栓の交換では立形金具しめつけ工具はとても重要な道具です。それぞれのナットのサイズに合ったものを用意して下さい。
2ホール台付混合水栓の交換のポイントをまとめました。
ポイント
ヘッドランプで作業効率アップ
立形金具しめつけ工具を用意する
固着したロックナットはKURE5-56などの潤滑油を浸透させてから外す
目にゴミが入らないように気をつける
一連の作業でちょっと躓くことがあるとすれば、ロックナットの固着だと思います。ただ、今までに何百と交換していますが、固着したロックナットが外せなかったことは一度もありません。